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アグロフォレストリー農法によるカカオ、コーヒー栽培

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「アグロフォレストリー農法」という言葉を聞いたことがありますか。樹木を植え、森を守り管理しながら作物を育てる方法で、人にも環境にも優しい農法とされています。

 

アマゾンの熱帯雨林が地球温暖化を救う

アマゾンの熱帯雨林

私たちが向き合わなければならない緊急課題である地球温暖化。解決策の一つとしてアマゾンの熱帯雨林を活用することが注目されています。

アマゾンの樹木や植物は、光合成を通じて二酸化炭素を取り込み、酸素を放出。この過程で、二酸化炭素は植物の樹木や葉、根などに吸収され、その一部は土壌に貯蔵されます。

アマゾンの熱帯雨林は膨大な量の二酸化炭素を吸収し、酸素を放出することで大気中の炭素バランスを調整してくれているのです。

また、アマゾンの樹木や植物が大気中の水蒸気を吸収・蒸散させることで水量を調整し、雨をもたらす役割を果たしています。

雨がもたらされることにより、熱帯雨林の植生は維持され、地球の気候にもいい影響を与えています。

つまり、アマゾンの熱帯雨林は水循環の維持や地球温暖化の進行を緩和する上で非常に重要な役割を果たしています。

アグロフォレストリー農法でアマゾン熱帯雨林を守る

アマゾンの森林

二酸化炭素を大量に吸収する能力を持つアマゾンの熱帯雨林は地球上の約半分を占め、その60%がブラジルに位置しています。

しかし、ブラジルではアマゾンの森林が違法伐採され、大規模な農地化が進行。この違法事業は長年問題視されてきました。法律の規制や人工衛星の監視にもかかわらず、完全撲滅には至っていません。

違法伐採に対抗し森林の再生・保持する取り組みとして、「アグロフォレストリー(Agroforestry)」という森林農法がブラジルで普及し始めています。

アグロフォレストリーとは、農業と森林保護を組み合わせた持続可能な農法の一つ。

伝統的な森林伐採や焼畑農業のように森林を切り開いて耕作地を作るのではなく、既存の森林を活用しながら、その地域に適した農作物を育てます。

アグロフォレストリー農法は土壌の保護や水源の維持、生物多様性の保全など、森林生態系の健全性を保ちながら農業を行うことができるのです。

ブラジル政府もアグロフォレストリー農法を推奨しています。ブラジルでは熱帯雨林に自生する薬草の苗を増やしたり、森林の木陰を利用して低木(コーヒー、キャッサバ、胡椒、豆類など)を栽培しています。

アマゾンにはコパイーバ、アンジローバ、クマルなどの私たちには馴染みのない植物が多く自生し、それぞれ独特の香りや効能を持っています。

その原木を採取し、苗木を育て、植林したのち、収穫された葉や実は粉末やオイル、クリームなどに加工されます。

 

アグロフォレストリー農法とカカオの関係

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アグロフォレストリー農法により、様々な植物が栽培されていますが、中でもアグロフォレストリー農法と相性がいい農作物が「カカオ」。

カカオは世界中の多くの人たちを魅了するチョコレートの原材料。カカオの深いコクと甘さが絶妙に組み合わさった味わいが、心と体へポジティブな効果を与えてくれます。そんな奥が深いカカオですが、産地のほとんどが西アフリカ、東南アジア、アマゾンの熱帯雨林なのです。

アマゾン熱帯雨林の約45%の森林が集中しているブラジル・アマゾナス州のマニコレ市では、アグロフォレストリー農法を用いたカカオ栽培が進められています。

カカオの木は、高温多湿で日陰が多い環境を好みます。強い直射日光に弱いため、他の高木の下で育つことが一般的です。

さらに、受粉を助ける虫を必要とし、土の水分量が高い環境が理想的です。まさに熱帯雨林はカカオ栽培に適した環境なのです。

そして、カカオの木は多くの落ち葉を出すため、それが他の植物や農作物の腐葉土にもなります。

森林を守りながら農家の安定した収入源となるカカオ栽培を目指し、収穫後の最も重要な工程であるカカオ豆の発酵技術を向上させるために、現地の農家と地元の製造工房が共同で研究を重ねています。

 

コーヒー栽培で熱帯雨林を取り戻す

コーヒーの木

実はアグロフォレストリー農法と相性がいい農作物はカカオの他に「コーヒー」も。

ブラジルの代表的な輸出品であるコーヒー。ミナスジェライス地方が主要産地として知られていますが、アマゾン熱帯雨林でもアグロフォレストリー農法によるコーヒー栽培が進められています。

低木で育つコーヒーは、高木を活かすアグロフォレストリー農法に最適な作物です。そのため、長年森林伐採に悩まされてきたブラジルのある都市では、地域をあげてアグロフォレストリー農法を実践し、アマゾンに自生する苗木を植えつつ、コーヒーを栽培。収穫されたコーヒー豆は共同で乾燥加工され、国内外に出荷されています。この取り組みにより、10年後には100ヘクタール単位での開墾地が森林に戻ると期待されています。

また、ブラジルを代表するコーヒー製造メーカーは、先住民とともにアグロフォレストリー農法でのコーヒー栽培を開始しました。
この取り組みは、森の番人・アマゾンの先住民の知恵と力、そして美味しいコーヒーを生み出してきたノウハウを活用した、森林再生を目指すサステナブルな試みです。

あなたの「おいしい」がだれかの「うれしい」に。

持続可能な農法で採取されたカカオやコーヒー豆を利用したサステナブルチョコレート・サステナブルコーヒーを選ぶことは、私たちが住む地球と社会をより良くする一歩となるでしょう。