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ミツバチ減少がアーモンド農家へ及ぼす影響とは?生産国アメリカで取り組むアーモンドプロジェクト

アーモンド

アーモンドは栄養価が高く、特にタンパク質、脂肪、ビタミンE、ミネラルを豊富に含んでいるナッツです。豊かで深みのある風味があり、香ばしくてクリーミーな味わいは、料理やお菓子、スナックに幅広く活用されます。

そんな魅力あふれるアーモンドですが、アーモンドが実る過程では、ミツバチによる受粉が欠かせません。しかし、最近では世界的にミツバチの数が減少しているとの報告が相次いでいます。

この課題に対処するため、imperfect株式会社(以下、imperfect)では「アーモンドプロジェクト」を立ち上げました。

 

アーモンドとミツバチの関係

ミツバチ

ミツバチはアーモンドの収穫に欠かせない存在。アーモンドの花は自家受粉が難しいため、異なる木からの花粉が必要です。ここで重要な役割を果たすのがミツバチ。アーモンドの木が実を結ぶために必要な受粉作業をミツバチが担っています。

  1. ミツバチは花の蜜を求めて飛び回ります。この過程で、ミツバチはアーモンドの花に止まり、蜜を吸います。蜜を吸う際に、花の雄しべから出る花粉がミツバチの体に付着します。
  2. ミツバチが次の花に移動する際、先ほど付着した花粉がミツバチの体から落ち、次の花の雌しべに付着します。これにより、異なる木からの花粉が運ばれ、受粉が行われます。
  3. 花粉が雌しべに付着すると、受粉が成功し、アーモンドの実が結ばれる準備が整います。ミツバチの受粉活動がなければ、アーモンドの実が結ばれる可能性は大幅に低下し、収穫量が減少してしまいます。

そのため、アーモンドの受粉には大量のミツバチが必要です。アーモンドの花が咲くのは短期間であり、その期間に効率よく受粉を行うため、数千匹から数万匹のミツバチが必要とされます。ミツバチの減少はアーモンドの生産に大きな影響を与えるため、ミツバチの保護と管理がとても重要なのです。

ミツバチ減少によるアーモンド生産量の減少

アーモンドの実

しかし、近年、ミツバチの数が世界的に減少しています。

この現象は「蜂群崩壊症候群(Colony Collapse Disorder)」として知られ、特に欧米で顕著に見られています。ミツバチの減少は、生態系全体に大きな影響を及ぼし、アーモンド農家を含め、さまざまな農業生産にも重大なリスクをもたらしています。

ではなぜ、ミツバチが減少しているのでしょうか?

ミツバチの減少には複数の要因がありますが、主な原因として「農薬の使用」が挙げられます。

特に農業活動で使用されるネオニコチノイド系農薬は、ミツバチの神経系に影響を与え、方向感覚を失わせることが知られています。また、病気や寄生虫(例えばバロアダニ)の増加、気候変動による環境の変化、栄養不足や単一作物栽培による食糧源の多様性の喪失も要因となります。

ミツバチの減少は、アーモンド農家にとって大きな痛手です。アーモンドの受粉にはミツバチが不可欠であり、ミツバチが減少することで受粉の効率が低下します。受粉が不十分な場合、アーモンドの実が十分に育たず、品質・収穫量が低下します。

これにより、収益が減少し、農家の経済的負担が増大してしまうのです。さらに、受粉を補うためにミツバチを外部から借りる農家はそのコストが増加し、経営に大きな影響を与える可能性があります。

このように、ミツバチの減少はアーモンド生産量の減少におおきく関係しているのです。

ミツバチとの共生には正しい知識が不可欠

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アーモンド農家やその他の農業従事者は、正しい養蜂手法とミツバチとの共生のための知識を身に着けることが不可欠です。

正しい養蜂手法には、ミツバチの巣箱の設置と管理、適切な餌の供給、病気や寄生虫の管理、そして農薬の使用を最小限に抑えるための方法などがあり、これらを学ぶことが重要です。

さらに、ミツバチが一年を通じて栄養を摂取し健康を維持するためには、多様な花が咲く環境を提供することも重要です。

また、ミツバチとの共生のための知識を身に着けるために、ミツバチの行動や生態について理解を深めることも重要です。そうすることで、ミツバチの自然な習性を活用し、より効率的な受粉を促進することができるからです。

このように、ただしい知識と技術の習得は、ミツバチの個体数減少を防ぎ、持続可能な農業を実現するために必要不可欠なのです。

imperfectが取り組むプロジェクト

ミツバチ

アーモンドプロジェクト

そこでimperfectでは、アメリカのアーモンド農家が持続的な生産を実現するための「アーモンドプロジェクト」を開始しました。このプロジェクトでは、ミツバチがより育ちやすい環境を整えるため、4.2エーカーのアーモンド農園に、水を川や湖などから引いてきて農地を潤す灌漑(かんがい)設備を導入し、清潔な水を供給するとともに、ミツバチが好む花を約1300本植えるなどの取り組みを行っています。

さらに、ミツバチが快適に生息できるように巣箱を提供するなど、環境整備にも力を入れています。

養蜂家育成プログラム支援

ミツバチが快適に生息できる環境を整えるだけでなく、効果的な養蜂の手法やアーモンド農家との共生に関する知識を普及させることも重要です。その一環として、imperfectはカリフォルニア大学デービス校のプログラムである「カリフォルニア・マスター・ビーキーパー・プログラム(CAMBP)」を通じて、カリフォルニア州の養蜂家をサポートしています。こちらでは、継続的な養蜂トレーナーの育成プログラムを展開しています。

 

カリフォルニアのアーモンド農家は、投入資材のコストや変わりやすい天候、水不足など、さまざまな脅威にさらされています。これらの課題に立ち向かうためには、互いに協力し情報を共有しながら乗り越えることが求められています。

そのために、CAMBPでは、ミツバチや他の受粉媒介者の重要性を理解している養蜂家を認定し、彼らが地域の指導者となって正しい知識を他の養蜂家に伝え、州全体の養蜂コミュニティの情報のパイプ役になることを目指しています。

プロジェクト担当者は「プロジェクトのおかげで、農園に恒久的な花粉媒介生息地が提供され、農薬の散布量とミツバチの死亡率が減少しました。結果、農家は経済的なメリットを得ています」と述べています。

imperfectでは、おいしさの裏側にいる生産者が笑顔になれるようなプロジェクトを進めています。これらの取り組みが、世界と社会をより良くする一翼を担うことを願っています。