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【チョコレートの原料】カカオ豆とは?産地や品種について解説

カカオ

子どもから大人まで、みんなが大好きなチョコレート。私たちの日常に幸せをもたらす身近な存在ですが、その原材料である「カカオ豆」を意識しながら食べている方は少ないかもしれません。そこで今回の記事では、カカオ豆について詳しく解説していきます。

 

 

カカオの実「カカオポッド」は成熟度により色や形が変わる

カカオ

チョコレートの原料は、アオギリ科に属する常緑樹「カカオ」の実。カカオは高温多湿の熱帯地域に生息します。ラグビーボールのようなゴツゴツとした形状のこの実は「カカオポッド」と呼ばれ、長さは約15~30cm、幅は約7~12cmとラグビーボールよりは小ぶりですが、成熟時の重さは1〜3kgとなり、大きさもラグビーボールの倍以上にまで成長します。そして、カカオポッドは成熟するにつれて徐々に硬くなる殻に包まれています。

また、カカオポッドの色は成熟度に応じて多様に変化するのも特徴です。未熟なカカオポッドは緑色、成熟が進むにつれて黄色、オレンジ、赤、紫など様々な色に変わります。この色の変化は品種や栽培地域、さらには同じ木でも見られることがあり、収穫に適した状態であることを見極めるための重要な指標となっているのです。

そして硬い殻を割ると、中には白い果肉に覆われた40~50粒の種子が現れます。この種子が「カカオ豆」。カカオ豆は果肉とともに発酵され、その後さまざまな工程を経て、チョコレートとなります。

 

カカオの木は日光を好まない

カカオ

カカオの木が育つ地域は「カカオベルト」と呼ばれ、北緯20°から南緯20°の赤道周辺エリアに広がっています。

カカオは海抜30〜300m、年間平均気温が約27℃、年間降雨量が1000mm以上といった特定の条件を満たす地域でしか育つことができません。

これらの条件を満たす主要なカカオ豆の生産国はコートジボワール、ガーナ、エクアドル、カメルーン、ナイジェリア、インドネシア、ブラジルで、これらの7ヵ国が世界生産量の約90%を占めています。世界生産量の77%をアフリカ大陸の国々だけで占めているのです。

カカオの木は日光を好まず、半日陰を好む性質があります。そのため、カカオ農園ではカカオの木の周囲に日光を遮る大きな木「シェードツリー」が植えられることが一般的です。

これらのシェードツリーはカカオの木に適度な日陰を提供し、直射日光を防ぎます。さらに、カカオの木の周囲の気温を調整し、一定に保ってくれるだけでなく、樹冠が降雨や風を適切に遮ることで、土壌の乾燥や水分蒸発を防ぎ、湿度を維持してくれるのです。

これにより、土壌の保護・生物多様性を維持し、カカオの木は健康的に成長することができます。

カカオ豆には3つの品種がある

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カカオ豆は、その起源や品種によって異なる風味や特性を持ちます。そんなカカオ豆には大きく分けて3つの品種があります。

一つ目は有史以前から存在する「クリオロ種」です。この品種は、メキシコ南部やグアテマラなどで古くから栽培され、アステカの皇帝たちも愛飲していたと言われています。

そんなクリオロ種ですが、病害虫に弱いため、栽培が非常に難しいとされています。しかし、その特有の風味と高品質さから「フレーバービーンズ」として珍重されています。独特のナッティな風味と苦味が少ない特性は、カカオ愛好家にとって魅力的であり、幻のカカオ豆とも称されています。

二つ目は「フォラステロ種」です。この品種は、アマゾン川上流域やベネズエラのオリノコ川エリアなどに起源を持っています。フォラステロ種は成長が早く、病害虫に強いため、比較的育てやすいとされています。

一般的には、ガーナやコートジボワール、ナイジェリア、ブラジルなどの地域で広く栽培されており、渋味と苦味が強いカカオ感が特徴です。この品種は、その強さと安定性から、広範なカカオ生産地域で栽培されています。

最後は「トリニタリオ種」です。この品種は、クリオロ種とフォラステロ種の自然交配によって誕生しました。その誕生がカリブ海のトリニダード島だったことからその名が付けられました。

トリニタリオ種は、クリオロ種とフォラステロ種の特性を兼ね備え、育てやすく、深い味わいが特徴です。中南米やマダガスカル、ベトナムなどで栽培され、世界のカカオ生産量の一部を占めています。その優れた品質と風味から、多くのチョコレートメーカーによって高く評価され、広く利用されています。

カカオ豆からチョコレートになるまで

チョコレート

原産地から届いたカカオ豆は、選別・ロースト・粉砕が行われ、皮などを取り除き、「カカオニブ」となる。このニブをすりつぶすと、「カカオマス」ができます。ココアバターや砂糖、ミルクを加えることで、チョコレートが完成します。

カカオマスとココアバター、砂糖、乳製品の割合によって、最終的なチョコレートの味わいが変わるのです。大人に人気の「ダークチョコレート」は、カカオマスとココアバター、砂糖を基本としています。これに乳製品を加えると「ミルクチョコレート」となり、カカオマスを除くと「ホワイトチョコレート」となります。

これらの材料を組み合わせたものは、大きなローラーで細かく粉砕され、時間をかけて練り上げられることで、滑らかに仕上がります。その後、温度調整を経て充填され、冷却後に型抜きが施され、チョコレートが完成します。

赤道近くで時間をかけて生育され、丁寧に発酵・乾燥されたカカオ豆は、世界中のチョコレート工場で各国独自の技術を用いて製品化されています。