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カカオ豆産地のガーナの森林減少問題や児童労働問題

作成者: imperfect|2024/08/02

チョコレートはいまや日常生活に欠かせない、私たちに幸せをもたらしてくれるお菓子ですよね。

しかし、その原料であるカカオ豆の産地が直面している問題を知る機会はなかなかありません。
今回の記事では、カカオ豆産地の1つ「ガーナ共和国」について紹介します。

目次
 カカオ豆の産地ガーナ
 ガーナが直面する森林減少問題
 ガーナが直面する児童労働問題
 imperfectの想いと生産者の課題解決に向けた取り組み

 

カカオ豆の産地ガーナ

アフリカ西部に位置するガーナ。
ガーナはカカオ豆の生産量「世界第2位」を誇り、日本にも多くカカオ豆を輸出しています。

(ちなみに、カカオ豆の生産量世界1位の国はコートジボワール。)

ガーナでカカオ豆の栽培が始まったのは19世紀。当時スペイン領だった赤道ギニアの島からカカオの実が持ち込まれたことがきっかけでした。

現在、カカオ豆は金や石油と並んでガーナの主要な輸出品となっています。
その中でも栽培・収穫量第1位のカカオ豆であるフォラステロ種は、病害虫に対する耐性が強く、成長速度と収穫量に優れているため農家に人気の品種です。フォラステロ種は酸味・苦み・渋みのバランスが非常に良く、力強い風味が人々を魅了させます。

ガーナのカカオ農家の多くは、小規模な家族経営で、一般的に数ヘクタールの土地でカカオを栽培しています。

カカオ栽培の始まりは東部ですが、現在では中部から西部にかけての生産が中心になっています。この地域は、カカオの成長に適した気候と土壌を持っているのです。


都市部や主要道路から離れたエリアには、カカオ栽培を行う多くの農家が集まった『カカオ村』と呼ばれる地域が点在しています。

ガーナが直面する森林減少問題

カカオ豆の産地ガーナを含む西アフリカの多くの国々では、森林減少が深刻な問題となっています。
各国政府やカカオ関連企業、各種機関、NGOなどが協力し、問題解決に向けて取り組んでいますが、まだまだ先は長い状況。

森林減少を抑えるために、農法の見直しなどでカカオ収穫の増加を目指す取り組みが行われています。
例えば、アグロフォレストリー農法。同じ土地で複数の種類の作物を育てることにより、持続可能な土地利用で食料生産、森林再生、および生物多様性の保全が可能になります。他の植物が土壌のバランスを整え、長期的に土地の健康を維持できるので、農薬や化学肥料が限定的であるのも特徴。

参考記事:アグロフォレストリー農法によるカカオ、コーヒー栽培

ガーナの森林減少には外国人による違法な金の採掘も大きく影響しています。金が多く採掘されるガーナの地域では、現金を早く得たい農家が、農園の土地を違法採掘者に売ってしまう問題も引き起こしてしまっているのです。

農園の土地を違法採掘者に売ってしまう根本的な原因の一つは経済的困窮です。

そのため森林伐採を止めるだけでは解決に至りません。

 

ガーナが直面する児童労働問題

貧困は森林減少だけでなく、児童労働や人身売買につながる要因にもなっています。

子どもたちが学校に行けず、農作業を強いられたり、経済的困窮に悩む他の地域や国から人身売買によって見知らぬガーナに連れてこられ強制的に働かされたりする現実があります。

また、パンデミックの影響で学校が閉鎖された期間中に児童労働が増えたとされています。
児童労働問題に対し、カカオ業界では農家や村の状況を把握するためのモニタリングを実施し、児童労働を発覚させる仕組みを構築しています。

収入を増やすための支援、子どもの権利の啓発、教育環境の整備など、まだまだ多くの対策が求められますが、まずは継続的なモニタリングが必要です。


またガーナに限った話ではないですが、西アフリカを中心としたカカオ豆の生産地で天候不順と作物の病気による不作が要因で供給不足な状況です。

銅より高い値段で取引されるなど、チョコレートの価格高騰にもつながることが危惧されています。
カカオ豆の生産地であるガーナの様々な社会課題を解決し、持続的な生産体制を構築することはとても重要です。

imperfectの想いと生産者の課題解決に向けた取り組み

imperfectは、世界の食と農を取り巻く社会課題の解決を目指しています。

おいしさの裏側にいる生産者が笑顔になれるようなさまざまなプロジェクトを進めています。

▼プロジェクト例
ミツバチ減少がアーモンド農家へ及ぼす影響とは?生産国アメリカで取り組むアーモンドプロジェクト

世界のコーヒー農園が抱える課題とは?美味しいコーヒーを守るための取り組み

森林減少がカカオ農家に及ぼす影響とは?ガーナの森とカカオ農家の未来を守る「シェードツリープロジェクト」

「あなたの“おいしい”を、だれかの“うれしい”に。」。私たちの取り組みが、世界と社会をより良くする一翼を担うことを願っています。