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カカオ豆とコーヒー豆の違いと共通点を解説!

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目次

コーヒー豆とカカオ豆は同じもの?

コーヒー豆とは何か(コーヒー豆の正体と特徴)

カカオ豆とは何か(カカオ豆の正体と特徴)

コーヒー豆とカカオ豆の違いを5つの視点で比較

意外と似ている4つの共通点

コーヒーとカカオにまつわるQ&A(よくある質問)

まとめ ― 違いを知れば、それぞれの魅力がもっと深まる

コーヒー豆とカカオ豆は同じもの?

「カカオ豆とコーヒー豆、名前は似ているけど何が違うの?」──自宅でコーヒーを淹れたり、チョコレートを味わう中で、そんな疑問を持った方もいるかもしれません。

見た目や色が似ていますが、実はカカオ豆とコーヒー豆は、まったく違う植物からとれる種なんです。植物としての種類や、含まれる成分、そして最終的に何に使われるかも、大きく違います。

それでも、育つ環境や作られる過程には、似ているところがたくさんあります。そのため、この2つはとても相性が良く、一緒に味わうペアリングも広く楽しまれています。


コーヒー豆とは何か(コーヒー豆の正体と特徴)

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コーヒーノキの果実、コーヒーチェリーの種子

コーヒー豆は、アカネ科コーヒーノキ属という、一年中葉が緑の木になる種です。コーヒーノキは白い花が咲いた後、さくらんぼのような赤い実をつけ、見た目からコーヒーチェリーと呼ばれます。

このコーヒーチェリーの果肉を取り除くと、種子が現れます。一つの果実には、通常2粒の種子が入っています。

 

コーヒーベルトが育む香り

コーヒー豆の主な生産地は、赤道をはさんで北緯25度から南緯25度の間にひろがる熱帯・亜熱帯地域。 通称コーヒーベルトと呼ばれ、エチオピアやブラジル、コロンビア、グアテマラ、ベトナムといった国々が、世界的な産地として知られています。

高品質なコーヒー豆の多くは、標高1,000メートル以上の高地で栽培されます。昼と夜の寒暖差が大きい環境でコーヒーチェリーがゆっくり熟すことで、実に糖分や酸味などの成分がぎゅっと詰まって、あの独特の風味が生まれるのです。

 

発酵・乾燥・焙煎が生み出す多様な味わい

収穫されたコーヒーチェリーは、果肉を取り除く精製という工程で軽く発酵させ、天日などで乾燥させます。

最後の仕上げは焙煎(ロースト)です。淡い緑色をした生豆を200℃前後で熱すると、おなじみの茶色いコーヒー豆に変わります。煎り具合によって味わいはガラッと変わり、焙煎時間が短い「浅煎り」はフルーティーな酸味が、長い「深煎り」では苦味とコクが引き立ちます。

 

カカオ豆とは何か(カカオ豆の正体と特徴)

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幹に直接実る、不思議な果実 カカオポッドの種

チョコレートの原料になるカカオ豆は、アオイ科テオブロマ属のカカオの木になる種で、コーヒーノキとは植物の分類が違います。

カカオの木は、太い幹や枝から直接「カカオポッド」と呼ばれるラグビーボールくらいの大きな実がなるのが特徴です。この実を割ると、「パルプ」という白い果肉に包まれた30〜40粒ほどの種(カカオ豆)が入っています。

 

カカオベルトで育つ、濃厚でトロピカルな香り

カカオの木は、赤道を中心とした「カカオベルト」(北緯20度〜南緯20度)と呼ばれる熱帯雨林気候の地域で育ちます。主な産地は西アフリカのコートジボワールやガーナ、中南米のエクアドルやブラジルなどです。

カカオはその土地の気候や土壌を反映し、産地によってナッツのようであったりフルーティーであったりと、多様な個性を持ちます。

 

発酵が重要!チョコレートになるまでの工程

収穫したばかりのカカオ豆は、まだチョコレートの香りはしません。

まず、白い果肉(パルプ)ごとバナナの葉っぱなどで包んで、数日間発酵させます。このひと手間が、チョコレートらしい香りをつくるのに、一番大切なんです。その後、天日干しなどで水分が7%以下になるまで乾かします。

次に120〜140℃ほどの温度で焙煎し、香ばしさを引き出します。コーヒー豆より低い温度で焙煎するのは、豊富な脂肪分(カカオバター)を守るためです。焙煎後に皮を取り除いてすり潰すと、「カカオマス」というペースト状になり、これがチョコレートやココアパウダーの素になります。

 

コーヒー豆とカカオ豆の違いを5つの視点で比較

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両者の違いを5つの視点から整理します。

 

1. 植物としての分類と生態


まず、一番の違いは、植物としての種類がまったく違うことです。

  コーヒー豆 カカオ豆

科・属

アカネ科コフィア属

アオイ科テオブロマ属

主な樹高

3〜5 m

5〜8 m

実のつき方

枝先で房状になる

太い幹や枝から直接実る

科や属が違うということは、つまり、生物として別の仲間だということです。実のつき方も大きく異なります。

 

2. 見た目と構造

コーヒー豆は中央に筋が入った平たい楕円形で、カカオ豆は厚みのあるアーモンド形をしています。カカオ豆の表皮の下には、なめらかな口溶けの源となる脂質(カカオバター)が豊富に含まれます。

 

3. 加工方法と最終的な用途

  • コーヒー豆|焙煎後に粉砕し、お湯や水で成分を「抽出」して、飲み物として楽しみます。

  • カカオ豆|発酵・焙煎して「カカオマス」というペースト状にし、それを固めたり、砂糖やミルクを加えたりして、チョコレートやココアの「もと」になります。

この違いを知ると、「普通のコーヒーにカカオは入っていない」ことがわかりますね。

 

4. 主な含有成分

成分

コーヒー豆

カカオ豆

カフェイン

多い

ごく少量

脂質

少なめ

多い(カカオバター)

ポリフェノール

クロロゲン酸が主

カカオポリフェノールが主

コーヒー豆は覚醒作用のあるカフェインがたくさん含まれていますが、カカオ豆に入っているのは、ほんの少しです。カカオ豆の主な興奮成分は、もっと穏やかに作用する「テオブロミン」です。また、脂質はカカオ豆が約55%と多いのに対し、コーヒー豆は15%程度です。


5. 風味のキャラクター

コーヒーの風味は焙煎と抽出で酸味や苦味が変化するのに対し、カカオの風味は発酵やカカオマスの含有量などで苦味・酸味・甘味のバランスが変わります。


意外と似ている4つの共通点

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違いの多い二つですが、共通点もあります。

 

  1. 熱帯地域で育つ産地の共通点

コーヒー豆とカカオ豆は、それぞれ「コーヒーベルト」「カカオベルト」と呼ばれる赤道近くの高温多湿な地域で育ちます。この二つの地帯は重なる部分が多く、ブラジルやコロンビアのように両方を生産する国も少なくありません。

 

  1. 香りを生み出す加工工程の共通点

どちらも収穫した後に「発酵→乾燥→焙煎」という手順を踏むのは、おもしろい共通点です。この一連の流れが、豆が秘めているおいしさを引き出します。

  1. 美容と健康に嬉しいポリフェノール

コーヒー豆とカカオ豆は、どちらも老化を防ぐといわれるポリフェノールをたくさん含んでいます。コーヒーは「クロロゲン酸」、カカオは「カカオポリフェノール」が中心で、健康や美容に良いと注目されています。

  1. 楽しみ方を広げるペアリング

コーヒーとチョコレートは互いの風味を引き立て合うため、「ペアリング」や「マリアージュ」と呼ばれ、世界中で親しまれています。歴史をたどると、どちらも17世紀頃にヨーロッパへ伝わり、楽しむための飲み物や食べ物として、一緒に文化をつくってきました。

 

コーヒーとカカオにまつわるQ&A(よくある質問)

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Q1. コーヒーにカカオは入っていますか?

いいえ、ドリップコーヒーやエスプレッソのような普通のブラックコーヒーには、カカオはまったく入っていません。 コーヒーはコーヒー豆のみから作られます。ただ、カフェの「カフェモカ」のように、エスプレッソにチョコレートシロップなどを加えてつくるアレンジドリンクはあります。

 

Q2. ココア豆とコーヒー豆の違いは何ですか?

「ココア豆」というのは、一般的に「カカオ豆」のことです。ココアの原料であることからそう呼ばれるため、「ココア豆とコーヒー豆の違い」は「カカオ豆とコーヒー豆の違い」と同じです。

 

Q3. 育つ場所は違うのに、風味が似ていると感じることがあるのはなぜ?

どちらも似たような熱帯の気候で育ち、「焙煎」という同じ加工をすることが理由の一つです。焙煎することで生まれる香ばしさやほろ苦さには、共通する成分も含まれているからです。

 

Q4. カフェインの量が気になります。どちらが多いですか?

カフェインの量はコーヒー豆のほうがずっと多く、ドリップコーヒー1杯(約150ml)に約80mgなのに対して、高カカオチョコレート20gでは10mgほどです。寝る前なら、コーヒーよりチョコレートのほうが影響は少ないでしょう。

 

まとめ ― 違いを知れば、それぞれの魅力がもっと深まる

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カカオ豆とコーヒー豆は、違う点がたくさんある一方で、同じような熱帯の地域で育ち、似たような加工をへて、私たちの暮らしに香りを届けてくれる、深いつながりがあります。

違いと共通点を知ると、いつものコーヒーやチョコレートが、もっともっとおいしく感じられるかもしれません。

あなたの『おいしい』を、だれかの『うれしい』に。

imperfectは、皆さまが楽しむコーヒーやチョコレートが、生産地の環境や暮らしを良くする一助となるよう、サステナブルな取り組みを続けています。