目次 |
サブレ・クッキー・ビスケットの違いとは?
見た目が似ている、サブレ・クッキー・ビスケット。
どれも、小麦粉を使った焼き菓子なので、違いがよく分からないという方もいるかもしれません。
これらは同じようでいて、微妙に違います。
では、サブレ・クッキー・ビスケットはどのように違うのでしょうか。
ここでは、まず3つの焼き菓子のルーツからたどってみましょう。
始まりは同じ?3つのお菓子のルーツ
諸説ありますが、サブレ・クッキー・ビスケットのルーツをずっとたどっていくと、少なくとも紀元前には、その原型が存在していたと考えられています。
紀元前の食べものがどうやってビスケットやクッキー、サブレへとつながっていったのでしょうか。
おおまかな流れを、年表形式で紹介します。
西暦
|
できごと
|
約1万年前
|
石器時代後期に、人類はパン作りを始める(※1)。
|
紀元前
2,000年ごろ
|
古代ヨーロッパ人は航海や遠征のための保存食として、パンを乾燥させて再度焼き、日持ちをよくしていた。
これをビスケットの起源とする説がある(※2)。
|
1600年代
|
オランダ人がアメリカに渡り、ビスケットを伝える。
現地では、オランダ語の「小さなケーキ(koekje)」からクッキーとよぶようになる。
|
1600年代後半
|
フランスでビスケットの一種のサブレが誕生した。
|
世界中で親しまれているビスケットやクッキー、サブレは、同じようなルーツをもちながら、海を越えて違う国の文化圏のなかで育まれてきた食べものなのですね。
※1:参考:森永ビスケット「コラム Vol.1 ビスケットの語源は「2度焼いたパン」?」
※2:参考:一般社団法人 全国ビスケット協会「ビスケットのおはなし」
日本で違いが明確化したのは昭和から
世界に広まったビスケットは、日本にも早くから伝わりました。
昭和の時代には、ビスケットとクッキーが区別されるようになります(※3)。
日本におけるビスケットやクッキーのなりたちをみていきましょう。
西暦
|
できごと
|
1543年
|
ポルトガル人が種子島に漂着し、日本にビスケットが伝わる。
|
1855年
2月28日
|
医者の柴田方庵がオランダ人から聞き取ったビスケットのレシピを
水戸藩に手紙で伝えたという史実がある(※4) |
1971年
|
ビスケットとクッキーの定義が定められる
|
1980年
|
柴田方庵の史実にちなんで、2月28日をビスケットの日とする
|
1971年当時、ビスケットよりクッキーのほうが糖分や脂肪分が多くて高級品だったため、消費者の誤解を防ぐ目的で定義が決められたのです。
世界ではクッキーとビスケットが混同されていたり、違うものとして扱われていたりと定義もさまざまですが、日本では、ビスケットとクッキーは区別されています。
※3.参考:一般社団法人 全国ビスケット協会「ビスケット類の表示に関する公正競争規約及び同施行規則」
※4.参考:水戸商工会議所「ビスケットの日」
サブレ・クッキー・ビスケットの違い
では、サブレ・クッキー・ビスケットは、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
日本でのクッキーとビスケットの定義にもふれながら、サブレ・クッキー・ビスケットの違いについて、くわしくみていきましょう。
作っている国やメーカーなどによって、配合や味わいに多少の違いはありますが、一般的な特徴について紹介します。
サブレの特徴|フランス発祥
サブレは、フランス発祥のお菓子といわれています。
サブレの名前の語源は、フランスのサブレという町の伯爵夫人のレシピに由来する説や、「砂(sable(サブル)」のような食感にちなんでいるという説など、いくつかの説があります。
配合の目安は、バターと薄力粉を同量(1:1)くらいが一般的で、リッチな味わいです。
サブレは、バターの香りと風味をしっかり感じられるのが特徴で、生地が広がりやすい傾向にあります。
軽くてさっくりした食感のものやホロッとした食感のものがあり、クッキーより柔らかいものが多い傾向にあります。
クッキーの特徴|アメリカ発
クッキーはアメリカから伝わってきた焼き菓子とされています。
日本でのクッキーの定義は下表のとおりです。
種類
|
定義
|
ビスケット
|
小麦粉・糖類・食用油脂・食塩などを混合機やビスケットオーブンで製造した食品
|
クッキー
|
ビスケットのうち、以下に当てはまるもの
|
日本では、糖分と脂肪分が全体の40%以上含まれるビスケットをクッキーとよんでいます。
クッキーはバターの風味がほどよく感じられるうえ、やわらかくサクサクした歯ざわりで、口の中でほどける食感です。
ビスケットの特徴|イギリス伝来
ビスケットは、ヨーロッパのなかでもイギリスで広まり、世界に伝わったとされています。
語源は、2度焼いたもの「bis coctus(ビス・コウトゥス)」に由来するという説があり、小麦粉・砂糖・食用油脂・乳製品などを使って焼き上げた菓子をさします。
日本でビスケットとよばれる焼き菓子には、小麦粉の香りが際立つものが多く、薄くてパリっとした歯ざわりが特徴です。
火ぶくれを防ぐために、表面にピケ(針で穴をあけること)が施されているのが一般的です。
日本においてビスケットは、1875年(明治8年)に国産の本格的なビスケットの生産と販売が始まっています。
ビスケットは、日本で150年以上親しまれているお菓子なのですね。
【番外ガレット・クラッカーとの違い
サブレ・クッキー・ビスケットと似たお菓子に、ガレットやクラッカーも挙げられます。
それぞれの特徴を紹介します。
お菓子の種類
|
内容
|
ガレット
(※5) |
|
クラッカー
(※3) |
|
ガレットやクラッカーは、ビスケットやクッキーと見た目が似ていますが、使われる材料などが違います。
※5.参考:信州ガレット振興会「ガレットについて」
国によって違いがあるよび方や意味
サブレ・クッキー・ビスケットは、国によってよび方と意味が少しずつ異なります。
アメリカ・イギリス・フランスでは、文化や食習慣のなかで、これらは発展してきました。
同じビスケットでも、国が変わるとまったく別の食べものをさすこともあります。
国ごとのよび方の違いやどんな食べものを意味するのかについて、分かりやすく解説します。
アメリカはビスケット=クッキー
アメリカでは、サブレ・クッキー・ビスケットを、すべてクッキーとよびます。
イギリスでビスケットとよばれる焼き菓子は、アメリカではクッキーとよばれているのですね。
一方、アメリカでビスケットとよぶ食べものは、小麦粉でできたやわらかい菓子パンのようなものです。
スコーンに近い見た目で、バターやハチミツをつけて食べるのが一般的です。
日本国内のファーストフード店でも、フライドチキンのサイドメニューにビスケットというネーミングのパンのような食べものを見かけた方は多いのではないでしょうか。
あのしっとりとした菓子パンのような食べものが、アメリカにおけるビスケットです。
イギリスは3つまとめてビスケット
イギリスの場合は、サブレ・クッキー・ビスケットを、すべてビスケットという名称でひとまとめによぶのが一般的です。
たとえば、日本でクッキーとよばれている型抜きされたクッキーや、バターやドライフルーツをサンドしたサンドクッキーなども、イギリスではビスケットとよばれます。
ただし近年では、やわらかくてしっとりとした食感のタイプや、チョコチップ入りのタイプなど、一部のビスケットをクッキーとよんで区別するケースもみられます。
それでも、日本のような明確な分類があるわけではなく、ビスケットというよび名が主流です。
フランスはビスケット=ビスキュイ
フランスでは、クッキーやビスケットのような焼き菓子全般を「biscuit(ビスキュイ)」とよびます。
サブレもビスキュイの一種です。
フランス語のbiscuit(ビスキュイ)も、2度という意味のBis(ビス)と、焼くという意味のcuit(キュイ)からなる言葉で、「2度焼かれたもの」という意味です。
フランスではビスキュイという言葉が非常に広い意味をもち、以下のようなものはすべてビスキュイとよびます。
- ビスケット
- スポンジケーキ
- クラッカーのような、乾いた焼き菓子
- 素焼きの陶磁器
素焼きの陶磁器は食べものではありませんが、繰り替えして焼くことから、ビスキュイとよばれます。
お菓子作りの分野においては、別立て法で作ったスポンジ生地やそのお菓子をビスキュイとよぶことが多いです。
サブレ・クッキー・ビスケットをコーヒーのおともに
サブレ・クッキー・ビスケットの違いについて解説しました。
いずれも、ルーツをたどるとビスケットに行きつく小麦粉を使った焼き菓子です。
さくっとした食感やほどよい甘さは、コーヒーとも相性が抜群で、リラックスタイムにぴったり。
そんな魅力があるからこそ、世界中で長く親しまれてきたのかもしれません。
imperefectでは、くつろぎの時間を豊かにしてくれる、焼き菓子やコーヒーをバリエーション豊かにとりそろえています。
例えば、タンザニア エーデルワイス農園
ほのかにレモンのようなフルーティな味わいのあるスッキリしたコーヒーで、サブレやクッキー、ビスケットの甘さを引き立ててくれます。他にもシグネチャーブレンド。
ローストナッツやカラメルのような風味でミルクにもよく合うコーヒーです。
カフェラテなどにして、甘いお菓子とともに楽しむのもおすすめです。
imperfectで取り扱う商品の多くは、生産者の暮らしやフェアトレードの考えを大切にしたもの。
おいしいお菓子や飲み物にある背景やストーリーに目を向けながら、素敵なひとときを過ごしてみませんか。