エチオピアはコーヒー発祥の地として広く知られ、世界的に有名なアラビカ種コーヒー豆の原産国でもあります。
また、アフリカ最大のコーヒー生産量を誇る国としても有名です。この記事では、そんなエチオピア産コーヒー豆の魅力をわかりやすく丁寧にご紹介します。
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モカコーヒーという言葉をよく耳にしますが、この「モカ」という名前は、かつてコーヒー貿易の拠点だったイエメンの港町「モカ港」に由来しています。
イエメンやエチオピアで栽培され、モカ港から出荷されたアラビカ種のコーヒー豆が広くモカと呼ばれるようになりました。
実際には、イエメン産だけでなくエチオピア産のコーヒー豆もモカと呼ばれることがあります。エチオピアで収穫されたコーヒー豆の多くが、モカ港を経由して世界各地へ輸出されていたためです。
エチオピアのコーヒーの中でも特に有名なのが「イルガチェフ」です。イルガチェフはエチオピア南部シダモ地方の中でも、特に標高の高い特定の地域で栽培されるコーヒーを指します。
「モカ」がイエメンやエチオピアなど広域をカバーした総称であるのに対して、「イルガチェフ」はその中の一地域に特化した、非常に高品質なシングルオリジンのコーヒー豆です。特徴としてはフローラルな香りや紅茶を思わせる軽やかな酸味、透明感のある味わいが挙げられ、世界的にも高い評価を得ています
モカ
イエメンやエチオピアなど、モカ港から出荷されていたアラビカ種全般を指す。
イルガチェフ
エチオピア南部シダモ地方の特定地域で生産される、フローラルで華やかな香りと明るい酸味が特徴の高品質なシングルオリジンコーヒー。
つまり、「イルガチェフ」は「モカ」という大きなくくりの一部でありながら、その中でも特に個性的で世界的に高い評価を得ているコーヒーなのです。
エチオピアはアラビカ種の原産地であり、各地域の多様な気候や土壌が、それぞれのコーヒー豆に個性豊かな風味を生み出しています。代表的な産地と銘柄を以下でご紹介します。
シダモ (Sidamo) |
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イルガチェフ (Yirgacheffe) |
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ハラー (Harar) |
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ジマ(Jima)・レケンプティ(Lekempti)など |
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これらの銘柄は、総称として「モカ」と呼ばれることもありますが、「モカ・イルガチェフ」「モカ・シダモ」のように地域名を冠した名称が一般的です。
エチオピア産コーヒー全般に共通する魅力は、フルーティーなアロマと洗練された酸味にあります。ベリー系や柑橘系、ジャスミンのような華やかな香りが楽しめ、苦味は控えめで後味もすっきりしています。精製方法により味の印象はさらに異なります。
ナチュラルプロセス(非水洗式)
約80%のエチオピア豆で採用されている精製法。果実をつけたまま 豆を乾燥させるため、濃厚な甘みやワインのような芳醇なコクが際立ちます。
ウォッシュトプロセス(水洗式)
果実部分を除去した後に豆を水洗いし乾燥させる方法。柑橘系の爽やかな香りが明確になり、透明感のあるクリーンな味わいに仕上がります。
エチオピアのコーヒー豆は精製方法や土壌・標高、在来品種の違いにより、多種多様な味の世界を楽しませてくれます。このような多様性こそが、エチオピアコーヒー最大の魅力と言えるでしょう。
「ゲイシャ(Geisha)」と聞くと、パナマ産を中心とした高級スペシャルティコーヒーを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実はゲイシャ種の起源はエチオピア西部の「ゲシャ(Gesha)」という地域にあります。
1930年代、このゲシャ地域からコーヒーの種子が中南米へと持ち込まれました。その後、パナマで栽培と品種改良が進められた結果、現在のような特別な個性を持つ「ゲイシャ種」として確立されました。
ゲイシャ種の最大の魅力は、ジャスミンやベルガモットを思わせる繊細でフローラルな香り、そして紅茶のように透明感のある味わいにあります。飲んだ瞬間に口いっぱいに広がる優雅な香りと、ほとんど苦味のない、すっきりとした酸味が特徴です。
世界のトップクラスの品評会でも高評価を受けるゲイシャ種は、1ポンドあたり数百ドルといった高価格で取引されることも珍しくありません。その特別な風味から、高級ホテルやミシュラン星付きレストランなどでも提供されています。
ゲイシャ種が高価となる理由は大きく以下の3つが挙げられます。
希少性が高い
病害虫に弱く生産量が限られているため、市場に出回る量が少ない。
栽培が難しい
高い標高や適切な気候条件が必須で、生産環境が限られる。
卓越した品質
国際品評会(カップ・オブ・エクセレンスなど)で高評価を獲得するほど、香味の評価が非常に高い。
最近では、本来の原産地であるエチオピア・ゲシャ地域で生産される「ゲシャビレッジ(Gesha Village)」など、元祖エチオピア産ゲイシャも再び注目を集めています。
エチオピア南部、シダモ地方の標高の高い地域で生産されるイルガチェフは、その華やかな香りと繊細な酸味で世界中のコーヒーファンを魅了しています。
特にウォッシュト(水洗式)精製されたイルガチェフは、ジャスミンやベリー、そしてシトラス系のフローラルで明るい香りを放ちます。一口含むと、まるで紅茶やハーブティーのように軽やかな印象を与えながら、しっかりとした甘みやコクを感じられるのが特徴です。
「コーヒーの苦味や重厚さが少し苦手」という方でも楽しめるほど繊細で上品な風味がイルガチェフ最大の魅力といえるでしょう。
エチオピア産コーヒー豆は、欠点豆の含まれる割合や品質基準によって「G1」から「G5」までグレード分けされています。その中でも「G1(Grade 1)」は最も品質が高いとされるランクです。
G1グレードのイルガチェフは、欠点豆の混入が非常に少なく、風味が安定しています。そのため、スペシャルティコーヒーとして位置づけられることも多く、農園やエクスポーターによる厳しい品質管理が行われています。
一般的なコーヒーよりも価格はやや高めですが、イルガチェフの持つ繊細で華やかな味わいやクリアな後味を堪能したい方にとっては、G1グレードを選ぶ価値は十分にあります。
エチオピアコーヒーの最大の魅力は、フルーティーで華やかな香りと上品な酸味にあります。この特徴を最大限に引き出すには、ハンドドリップ(ペーパードリップ)がおすすめです。次のポイントを意識してみてください。
お湯の温度は90℃前後(高すぎると酸味が強く出すぎる場合があります)
豆の挽き方は中細挽き(ペーパードリップに適しています)
蒸らし時間を少し長め(30秒程度)にすることで、コーヒー豆の持つ香りをしっかり引き出す
特に浅煎りのエチオピア豆は酸味が鮮やかに出やすいため、やや低めの温度でじっくり丁寧に抽出すると、繊細でバランスのとれた味わいになります。
エチオピア豆の華やかなアロマは、ホットだけでなくアイスや水出しコーヒーにしても魅力的です。浅煎り〜中煎りのイルガチェフやシダモは、冷やすことでフルーティーな余韻が際立ち、爽やかな飲み心地になります。
アイスコーヒー:普段より少し濃いめに抽出し、氷で急冷すると香りが際立つ
水出しコーヒー:10〜12時間ほどかけてゆっくり抽出し、まろやかで優しい酸味を楽しむ
暑い季節や気分をリフレッシュしたい時には、ぜひエチオピアの個性を活かした冷たいコーヒーを試してみてください。
エチオピアコーヒーが持つフルーティーな風味は、チョコレートやキャラメルなど濃厚な甘さを持つスイーツと特に相性がよいです。チョコレートケーキやブラウニーなどのリッチなスイーツと組み合わせると、酸味と甘味のバランスが心地よく、後味もさっぱりと楽しめます。
また、エチオピアのコーヒー文化には「塩コーヒー」という独特な楽しみ方もあります。コーヒーにほんのひとつまみの塩を加えることで苦味がまろやかになり、スイーツとの相性もさらに良くなります。ちょっとした味の変化を楽しんでみるのもおすすめです。
エチオピアはコーヒー発祥の地であり、世界第5位、アフリカ最大のコーヒー生産量を誇る国です。その中でも特に注目されるのが、エチオピア南部シダモ地方の「イルガチェフ」です。
イルガチェフは、フローラルでフルーティーな香り、紅茶のように上品で軽やかな酸味、透明感のある飲み口が特徴。一度味わうと忘れられない印象を与えてくれる、エチオピアを代表する高品質なシングルオリジンコーヒーです。
「種類が多すぎてどれを選べばいいかわからない…」と悩む場合は、まずイルガチェフの中でも特に品質管理の優れた「G1グレード」がおすすめです。
精製方法や焙煎度合いにより風味のニュアンスは変わりますが、欠点豆が少なく安定した味わいを楽しめるのは高品質なG1だからこそです。
imperfectではエチオピア産コーヒーのなかでも特に香り高い「イルガチェフG1」を取り扱っています。焙煎直後の新鮮な状態でお届けしますので、エチオピアコーヒー本来の華やかな香りを存分に楽しんでいただけます。
まだエチオピアのコーヒーを味わったことがない方はもちろん、「以前飲んだことはあるけれど魅力がいまいち分からなかった」という方も、抽出方法を少し工夫してみると、きっと新しい魅力に気づけるはず。華やかな香り、繊細な酸味、優しい甘さの余韻をぜひ体験してみてください。